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【読書記録】道尾秀介「カラスの親指」道尾マジックにかかりました。

道尾秀介「カラスの親指」
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おすすめ度★★★★☆(4.5)

今週のお題「秋の空気」
読書の秋ですね。一昨日昭和記念公園の丘で秋の空気を感じつつ、この本を読み終えましたので読書記録に残します。

作品について

いつも通りの雑なあらすじ紹介をします。
主人公は詐欺師タケさん。タケさんは過去にいろいろあり、生活のために詐欺師をしています。そこで出会ったのがテツさん。一緒に詐欺をするようになります。それから、まひろ&やひろ&貫太郎という3人の少年少女と出会い、いろいろあって5人で住むことになります。各々の過去の清算のため、5人で力をあわせて詐欺を計画、実行するお話。

この本は、数人の方から「おすすめだよ」と言われていたので読んでみたものです。映画化もされているそうです。全く知らなかった自分に驚き。
公式サイトhttp://movies.foxjapan.com/crow/index2.html

感想

(核心は伏せますが若干のネタバレはあり。しかしぜひ読んでほしい作品なので、気を付けながら書かせていただきます。)

実はこの本、9割読んだ時点では★3でした。最後の1割で★4。さらに解説を読んで★4.5まで上がりました!!

私のミステリデビューは道尾秀介さんの「ラットマン」でした。初めての読書記録も書きましたが、おすすめ度★2という今までの最低ランクをつけています。
今回、「カラスの親指」を読んで、道尾秀介という人のことがほんの少しわかった気がしました。たった2冊ですけど、、。いろいろ無知だったのかな?と思う過去の記事はこちらです↓

まずはイマイチだった点から。
余談ですが、人はマイナスな点のあとプラスの点を言われた方がいい気分になって印象も強まるそうです。

イマイチな点を大きくくくると、「思わせ振りと丁寧すぎる説明」です。

例えば…

①アパートの火事のシーンでは、

テツさんは死んだ。
出会って三ヶ月半で-。
たったの三ヶ月半でテツさんはこの世を去った。妻のもとへ、彼は旅立っていったのだ。

とあります。
純粋な私は、「え!テツさん死んだの😱?」と心がギュンとなったのですが、そのすぐあとに、

と思ったら、ドアから飛び出してきた。わりと元気そうな動きをしていた。

と。
L(゚皿゚メ)」私の心配を返せ!!
となりました。


②他にもほのめかし多数
「それについてはすでに説明してある。」という言い回しや、「知らないふりをしていたけど本当は知っていた。」というような場面がたくさんありすぎて、「またかよー。」となります。
一番イラっとしたのは、貫太郎が物語の山場に怪しい行動を多々とります。「なんかあるのかなー?」とその度にドキドキしてしまうのですが、実際はヘボヘボな展開に。
とても読みやすかったけど、このような思わせ振りなどのおかげで9割読んだ時点で★3だったのです。

さらには「ラットマン」同様、伏線回収や謎の行動に対する事後説明が多い。そこまで解説しちゃう?というほど。

が、実は事後説明のくどさもラスト1割を読んだら「おおおお、それじゃぁ仕方ない!!」とこの本の良さに変わってしまったのです。

【「木を見て森を見ず」だった私】
「ラットマン」と「カラスの親指」を比べたときに、事後説明のくどさは同じような印象を受けましたが、読後感については真逆になりました。
ぜひ読んでいただきたいので、物語の核心は伏せて書きますが、この感動が伝わるか、、、。

私は一つ一つの事柄や事件についてまどろっこしい事後説明を読んでイラっとしていましたが、この物語は一つ一つの事柄だけではなく、もっと全体を、もっと客観的に読む楽しさというのがあるなと思いました。まさに、『木を見て森を見ず』状態。『森』が見えたときに初めてこの本の楽しさやすごさがわかります。(実際、「こんなうまくいかねーだろ。」と思いましたが。)
何より『森の目的』が、私は気に入りました。【みんなやり直せるんだよ】ってね、、。

そして、この本の最後にある解説が素晴らしかったのです。普段解説ってつまらなくて飛ばすこともあるのですが、非常に面白かったし、本文では気づけないことも気づかされました。それがこのことです。

タケさん(とテツさん)は詐欺師。
貫太郎はマジシャンです。
貫太郎のセリフにこんな言葉があります。

理想的の詐欺と理想的なマジックの違いをご存じですか?

理想的な詐欺はですね、相手が騙されたことに気づかない詐欺なんですよ。でもそれと同じことがマジックにも言えるかというと、全くの反対なのです。マジックでは、相手が騙されたことを自覚できなければ意味がないのです。

すべて読み終わってから考えると、「あーこの本(特に『森』の部分)は道尾秀介のマジックだったんだな」と思いました。
丁寧すぎる事後説明、伏線回収の結果、すべての種明かしがありました。騙されたことを自覚してもなお満足。
なるほど。道尾マジックに拍手(*’ω’ノノ゙☆パチパチ
その後、もう少し道尾秀介について深いことが解説にもかかれていましたが、興味深かったです。もう一冊読んでみようと思える作品でした。


おまけ
①割と序盤に、指の説明があります。とっても面白かった。実際電車で指を動かしてしまうほど。ここ読みどころです!!
②私はタケさんをずっとホリエモンをイメージして読んでいました。もうホリエモンしか浮かばなくて。しかし、映画化では阿部寛ではありませんか(|| ゜Д゜)そして、テツさんは村上ショージ!!(笑)ありえません。テツさんはもう少しイケメンのイメージでした。ホリエモン、共感してくれる人がいますように、、★★

はてなスター、お試しではずしています。

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