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【読書記録】東野圭吾「手紙」を読んで、いじめについて考える

東野圭吾「手紙」
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おすすめ度 ★★★☆☆
★3.5という印象です!やっぱり東野圭吾さんは、面白くてスラスラ読めます。

作品について

少しだけネタバレありです。
両親を亡くした兄弟。兄は「大学進学させたい」という母の願いを引き継ぎ、弟の大学進学を願っていました。しかし問題となるのはお金です。兄は、お金持ちの夫人の家に、お金を盗みに入りました。すべては弟の進学のために…。しかし夫人に見つかり、衝動的に殺してしまいます。兄は「強盗殺人罪」として刑に服すことになり、毎月刑務所から弟に手紙を書く、というストーリーです。兄の存在や、兄から毎月届く手紙が、弟の人生に大きく関わります。

感想

この弟は世間の人からいじめにあっている。世の中に必要ないじめは存在するのか。

私は小学校で働いていました。弱いものいじめやいじり、嫌がらせ、はどんなに気を付けていてもなくなりません。だからこそ、私が出会ってきたどの教員も日々の指導に奮闘しています。
しかし、いじめは大人の世界にもありますね。もう人間の本性と本能なんだと思います。
やっかいな者とはかかわりたくないし、嫌いな人には優しくできないときもあるし、自分の心がすさんでいるときには自分より弱いものを標的にして優位に立ちたいのでしょう。
大人は、多少わきまえていますから「関わらない」という手段をとる人もいます。
子どもの世界では、「見て見ぬふり、傍観者も加害者になります。」というような指導をします。助けることはできなくても、大人に伝えるなど自分にできる範囲で行動して、いじめをみんなで防ぐということです。

つまり、「いじめは絶対許されません。主犯は一番だめ。周りで見て楽しむ人もだめ。嫌がらせに気づいてて、何もしないのもだめ。」という指導が一般的だと思います。
この本に出てくる弟は、嫌なことを言われたり、差別されたり、進路や結婚でうまくいかなかったりと、小学校でいうと「いじめにあっている」ような状態が続きます。

先ほど書いたスタンスで10年以上指導してきた身としては、この本の人間関係で考えさせられることが多くありました。弟は、「強盗殺人犯の弟」ということで偏見や差別を受けて、いつもこのことがきっかけで大事なものや大事な機会を失ってきました。
「これって、いじめじゃん!」と思って読んでしまいましたが、弟の社長さんの言葉は衝撃でした。

『加害者の家族が差別されるのは当たり前。関わりたいとは思わない。それは、加害者を増やさないためにも周りがそうしなきゃいけない。』
こんなニュアンスのことを言いました。

おーーーー、そうかぁ、、、。
むむむーん。

深く考えました。世の中には必要な差別やいじめもあるのかな、、?

加害者を差別することで、犯罪やいじめは減るのか。
小学校では、「いじめの加害者の心のケア」も大切にされています。もちろん、いじめた方が悪いんです。 しかし、いじめる子の背景にはいろいろな事情を抱えている子もいます。「どんな事情を抱えていたって、いじめはだめです。」ということは指導しますが、加害者が成長できるよう、やさぐれちゃう気持ちを取り除いてあげるようにするのも教員の役目です。

社長さんは、こういう事件の加害者をなくすためにも加害者は差別されるべき、と話しました。

これをいじめに当てはめてみます。
いじめをなくすためにも、いじめた加害者は、今後は差別されるべきだ。逆にハブられたり、嫌なことを言われたりすべきだ。それがいじめをなくすための周りの役目だ。
と書いてみましたが、、
んー、、これって、悪循環じゃないのかな、、?と思いました。
こんな指導は、私にはできません。

難しいですね。どうしたら犯罪やいじめはなくなるのでしょう。
といっても、なくなることはないと思います。でも減らす方法は、差別をする他にあると信じて指導をするしかありません。

まとめ

「自分の概念や経験を考え直すきっかけをくれた本」
殺人罪といじめと、照らし合わせることがもはや違うのかもしれませんが、自分の身近な事案を見つめ直す機会を与えられた気がします。
きっと賛否両論あるとは思います。「そんな考えをもつ人がいるんだ。」と思ってもらえれば嬉しいです。

長々とお読みいただき感謝いたします。