【読書記録】東野圭吾「人魚の眠る家」
東野圭吾「人魚の眠る家」
おすすめ度★★★★★
あらすじ
離婚を決めている仮面夫婦。そんなある日、娘が水の事故で脳死状態に。瑞穂(娘)は「おそらく脳死だろう」と診断される。が、まだ体は生きている。ただし自分で呼吸ができない。母親の判断で、最新の技術を駆使して家に連れて帰ることに。目覚めることはないが、機械を身体に入れることで自力呼吸ができるようになる。そして、体を動かす(操る)ことができるようになった。
感想
(ネタバレあります。)
初めての★5つ。往復1時間の通勤読書で4日で読破。楽しい話ではないけど、すごく楽しかった。
人は、何をもって死ぬというのか。
脳が死んだらなのか、
体が死んだらなのか。
そんなことを考えさせられる本でした。
さて、脳は死んでるけど、排泄もする、身長も伸びる。瑞穂は脳死判定ですが、母親の懸命な介護により、身体は3年間安定し、成長し続けます。 不思議ですが、ありえることなのかもしれません。脳死について詳しい知識が足りていませんが、この本を読む限り、海外では脳死=死と判断されるため、延命治療は絶たれるそうです。日本では、延命措置は可能。ただし、目覚めたというデータはないそうです。
もし身近な人が脳死をした場合、もう目覚めることがないと言っても、体が温かいのであれば死を受け入れられない気がします。願ってしまうと思います。いつか目覚める。眠っているだけ。死んでいない、、、と。早々と事実を受け入れ、他の生きている臓器を提供して誰かの命を救うことを決断できるだろうか。
この本の終わりの方に、脳死について深く考える出来事が起こります。母親の殺人のくだりです。母親は一生懸命、瑞穂の介護を行います。しかし周りの人からはだんだん「一生目覚めないのに、、。」となりました。おかしな目で見られるようになります。そんな人たちの前で、母親は瑞穂に手をかけるのです。そしてこう言います。
【脳死の人の心臓を止めたら殺人になるのか】
①殺人となるなら、今までみんなに白い目で見られていた娘の介護が認められたことになる。本望だ。
②脳死=すでに死んでる、と捉えるのであれば、今娘をナイフで刺したとしても殺人にはならないはず。
そんなことを聞かれる警官も困りますね。実際はどうなんでしょう。
とても興味深くのめり込む一冊となりました。
これも映画化が決まっているそう。キャストが、私のイメージ通りだと思いました。